札幌地方裁判所 昭和51年(ワ)3077号 判決
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【説明】
寿司業自営者Xは、本件受傷により左上肢の肩関節の運動制限、左肩関節痛、左頭、上肢の緊張、倦怠感、左指の疲労、疼痛、しびれ、痙攣等の後遺症を残している。
【判旨】
三休業損害 金八四万九二〇〇円
原告の年齢、職業及び原告が昭和四九年八月一九日から休業したことは当事者間に争いがない。
<証拠>を総合すれば、原告は本件事故前まで前記肩書地において、蛇の目寿司を経営し、経験三年位の職人一人を雇い、同人を補佐として自らすしを握つていたこと、本件事故により、原告が入院したため右職人一人が同店ですしを握り営業を継続していたこと、原告の妻も、店に出て飯炊き、レジ、お茶出し等の仕事を担当し、原告は不定期に月八万円ないし一〇万円の手当を支給していたこと、原告は本件事故後昭和五〇年七月一五日までの入院、通院期間中もしばしば店に顔を出していたが仕入れのこととか、レジのこと等に指示をする程度で治療中の頃はすしを握ることも出来ず、現在もなお本件事故の後遺症のため腕が疲れて、手先まで感覚が変わつてきて、上手に寿司を握れない状態であるので専ら、職人を中心にして原告は補佐的に仕事をしていること、右職人の客の扱い方のまずさ、仕事の未熟なこと、店の主人である原告がにぎらないため店の主人の腕を期待して来店する固定客の足が店から遠のいたため等の原因により店の客離れが生じ、その結果店の売上げにかなりの減少が生じてきたこと、料理飲食等消費税納入申告書によると店の売上げは本件事故当時まで上昇してきていたが、本件事故を境に急に下落したこと、月平均売上額で比較すると、事故前六か月の平均売上金額は約九七万七〇〇〇円、事故後六か月の平均売上額は約七八万四〇〇〇円であること、昭和四九年当時、寿司屋の総売上げに対する純利益はおおよそ四割であること、以上の諸事実が認められ、<証拠判断略>。
右認定事実によれば、原告の休業期間は昭和五〇年七月一五日までの一一か月間と解せられる。
次に、前記寿司屋の営業収益は昭和四九年当時、総売上げの四〇パーセントが相当と解せられ、営業収益は同店の物的設備、人的組織によつてもたらされた収益を含むところ、原告が寿司を握ることができなくなり、主として職人に握らせるようになつたことから生じた営業収益の減少分は、原告の個人的手腕によりもたらされたものと認められる。
したがつて、原告の休業損害は少なくとも、原告の休業前月までの平均的月収益と、休業期間中の平均的月収益との差額に相当する。<中略>
よつて原告の本件事故による休業損害の算定は次のとおりである。
事故前六か月の平均総売上額
金九七万七〇〇〇円(月平均)
事故後六か月の平均総売上額
金七八万四〇〇〇円(月平均)
純収益は総売上額の四〇パーセント
月平均の休業損害
977,000×0.4−784,000×0.4=77,200
休業期間 昭和四九年八月一九日より一一か月
休業損害額 金八四万九二〇〇円
算式 77,200×11
四労働能力喪失による損害
金三五二万一二三二円
前記認定の原告の後遺障害の程度に照らせば、本件事故による労働能力喪失によるうべかりし利益の損失は次のように認定するのが相当である(昭和五〇年七月一六日の時点で一時に計算する)。
(1) 年収 二四〇万円(二〇〇、〇〇〇×一二)
(2) 労働能力喪失率
一〇年目まで 一四パーセント
一一年目から二〇年目まで 五パーセント
(3) 喪失期間 昭和五〇年七月一六日より二〇年
原告の後遺症の程度、治療期間、仕事の内容、年齢などからみて原告の仕事上の工夫、機能回復のための適切な訓練、努力により、労働能力の回復が期待されること及び現在のところ事故前のように上手には握れないが事故後もある程度寿司を握つていることなどの諸事情に鑑みれば、労働能力の喪失率は通院終了後一〇年間は一四パーセントが相当であるがその後の一〇年間における労働能力の喪失率は五パーセントに減少し、二〇年後には労働能力はほゞ原状に回復するものと解するのが相当である。
(4) 係数 7.722(年毎のライプニツツ複式係数)
(5) 算式 240,000×0.14×7.722+240,000×0.05×7.722
(日野忠和)